BIOSPHERE 20年後を目指した地域戦略を考える
南方のある島は飛行場もないほどの孤島でしたが、それゆえに海はコバルトブルー、
砂浜は真っ白。数千人の住民が半農半漁で暮らしていました。
ある年、若くて熱意に溢れた町長が就任します。
町長は地域おこしに熱心でいろいろな会合に参加し、全国の成功事例を勉強しました。
そして、あちこち駆けずり回った結果、
遂に大きなリゾート企業のホテルを誘致することに成功します。
村の海岸には巨大な白いリゾートホテルが建設され、飛行場も完成。
そして、待ちに待った完成式。
都会から派手なファッションで着飾った若者たちが訪れます。
島にとっては夢のような大躍進です。
従業員は島の若者、島の主婦たちもパート。
決して高くない賃金ですが、それでもこれまでの農業収入の2倍。
ホテルの周辺には喫茶店、サーフショップ、レンタサイクル、民宿などが建ち並びます。
島中でホテルの客をターゲットにした商売の競争が始まったのです。
数年間、観光客はうなぎのぼり。リゾートアイランドとして全国に名が知れわたります。
ところが、南の台風は本州と違って激しく、毎年何回もやってきます。
潮風によるメタル類の腐食、アルカリ水による水道管の動脈硬化、
地下水の塩害化や水不足などホテル側は予想以上の管理費に苦しみます。
そして、10数年後、近隣の島の新しいリゾート開発に客を奪われたり、
不況も加わって客は激減。そして遂にホテルは撤退・・・。
島の農地は荒れ果て、ほとんどの若者や多くの住民が本州へ出稼ぎに行って戻らない。
さて、以上は架空の話ですが、
皆さんはこの町長、あるいは島の観光政策をどう評価しますか・・・?
環境破壊だなんて批判するのは簡単です。
80年代後半に吹き荒れたリゾート開発ブームの惨めな終焉を批判することも簡単です。
いずれも結果論に過ぎない。
世界にはリゾート開発で成功している地域もたくさんあります。
私がこの島の農家だったら、どう判断するか自分でも自信がありません。
きれいな海も海岸も島で育った者には当たり前の光景。
小さな島の狭い農地、毎年の台風災害、離島ゆえに輸送費がかさむので
農業では未来を描けない。
天から与えられたこの島の資産は美しい海。それを活用しない手はない。
都会からたくさんの人たちが来て島が活性化し、現金収入も上がるとなれば、
反対する理由はない。
どんなに学者がやめろと忠告しても、人の夢や欲望までは否定はできません。
1987年の「リゾート法」以降、日本には850地域でのリゾートプロジェクトが計画され、
国土の20%を超す面積が開発の対象となったそうです。
ちなみに日本の平野の面積は国土の約25%、農地は約13%。
・・・ありえない話ですが、日本中が熱病のように浮かされ、
そこからあのバブル経済へと進展していったのです。
「バブルは、はじけてみないとバブルだとわからない」(好景気と見分けがつかないの意)
とはアメリカの経済学者でアメリカ中央銀行議長だったA・グリーンスパンの言葉です。
経済学ですらこうなのです。
リゾートホテルも、ホテルが撤退して初めて島の経済が崩壊したことを知ることになる。
繰り返しますが、上で書いた南の島のリゾートホテルは架空の話です。
・・・いや、架空であることを、心から祈りたい気分です。
壊滅的な南の島の話は、ノンフィクション的でもありましたが、
地域の宝を、活かさないわけにはいかないでしょう。
しかし、環境や宝を壊す弊害からは守らなければならないでしょう。
経済効果、コスト縮減にとらわれるすぎると失敗があるのかもしれません。
農業の維持や環境の維持これらこそが地域資源の根幹ではないでしょうか。
これらを活かしながら、多くの人に体験してもらいサポーターになってもらう。最近はインターネット販売もあり、商業化されていない地域への体験ツアーなどもあるようです。
頑張って欲しいです。
って、架空の話でしたね。
湖岸のKT
そう思いますよ。私は過疎地の限界集落に近い地域で地域起しに少し携わっています、きれいな空気と水、きれいな星空だけでは生活できないのです、何も望まなければその地域で生活は出来ますが?
人間の欲望は満たされませんよね。
その島のリゾート開発は失敗したのは一般的な消耗、消費の開発と運営を小さな(?)島に持ち込んだことが原因かもしれません。
しかし大きなホテルを小さな生態系に持ち込んだツケは大きくもう二度と昔の生態系に戻ることはないでしょう。
未来永劫海の魚や森の植物はもう昔の姿には戻れないのです。
適うならば、新たな小さな循環型の社会を創造し実行する以外にはないのですが、若かった町長さんの頭を切り替えていただくしかないでしょう。
基本に立ち返って、水はありますか? 農作物は取れますか?海産物が取れる状態ですか? 社会インフラは充分ですか?などから始まって、今の状態で活かせるものがあるかどうかをみんなで話し合えれば第一歩でしょうかね。
この架空の島では、島民がホテルの客を取り合ったという経緯がありますから、もう一回島民がひとつになれるか?ということなのでしょうか。
「向かいの店はえげつない」「あそこの店はすぐにマネをする」などと親が話していれば、子に刷り込まれるでしょうし。あくまで架空の話ですが。
もともと開発前の島では、島民の一体感というのは認識していなかったかもしれません。(これも文中の“当たり前”の環境でしょうか。)しかし、失って気づくではないですが、もう一回島民がひとつになれるならば、活路はあると、それこそ心から祈りたいです。