【連載コラム】20年後の地域戦略を考える


Vol.5
こばた

2009.11.04 金子照美(2030.jp編集室 NPO田園社会プロジェクト理事長)
コメント(8)件

以前、スーパーの店員が少なくなってきたことを書きましたが、
昨今、セルフレジといって勘定を自分でするスーパーが出現してきました。
買った商品のバーコードを自分でピッと読み取り機にかざしていき、
最後に清算ボタンを押すだけ。いたって簡単です。

どうして万引きが防げるのかというと、商品の合計重量で判るとのこと。
つまり、清算前と清算後のカゴの重さが同じならOKというわけです。
これは人件費が節約できますから瞬く間に広がるでしょう。
スーパーの店員はますます少なくなっていくことになります。

駐車場も自動化が進んできました。いわゆるコインパーキング。
駐車スペースの番号を押して清算すると、車止めのゲートが閉じて出車できる仕組みです。
駐車券の紛失もなくなるので便利この上ない。
都市の空き地はこうしたコインパーキングが多くなっています。

ところがこうした自動化、機械化は、
地域にしてみれば雇用を奪われていることになります。

つまり、駐車場係のオジサンはレジのパートさんと同様、機械に代えられてしまう。
それにこうした自動機械のメーカーは大手の会社ですから、たいがい地元の資本ではない。
下手に設置すると、雇用も利益も他の都市(企業)に奪われてしまうことになるのです。

タバコやジュースなどの自動販売機も同じです。

以前はどこの町にも煙草屋さんやラムネ屋さんがあり、
お婆さんが道祖神のような優しい顔で座っていました。
店にはたえず近隣の人たちが立ち寄り、他愛もない世間話を交わしていました。

今はひと気もなくなった商店街の片隅に「こばた」(右読み)などと書かれた看板や
大正モダニズムを感じさせるショーウインドウに出遭うと、
何かしら古き良き文明の残骸を見つけたような気になります。

私たちの社会は、何が哀しくてああした純朴なものを打ち砕いてきたのか。
この先、どんな社会を望んでいるのか・・・なんて書生じみた怒りすら感じます。

ともかくもそうした店はなくなり、代わりに自動販売機という不夜城のように明るい機械が、
こんな山道に?と思うようなところにまで立っている。

余談ですが、こうした自販機は全国で550万台あるそうです。
総売上金額は2兆3千億円(農業国内生産高の1/4)。
1年間の電気使用量は55億2千万KW以上(東京電力の発電量の約20%)。

機械化といえば農作業もそうです。田植え機、トラクター、コンバイン・・・、
作業は飛躍的に楽になりました。
しかし、同時に農作業が孤独になったという声をよく聞きます。
昔の田植えや稲刈りは家族総出、あるいは村人も手伝っての一大イベントでした。
稲刈り後の休暇は村人そろっての慰安旅行・・・。

例を挙げればキリがないのですが、総じて、機械化、自動化、
つまり地方に都市経済の波が押し寄せるほど、地域の雇用・利益・文化、
さらには地元のコミュニティすら失われていくということを
私たちはもっと真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

貧しさから逃れるため、貧しさを支えていた人々の知恵、深い絆、温かい思いやり
といった社会的財産まで一緒に打ち砕いてしまう。
その失った財産の大きさ、かけがえのなさ・・・。



<ご感想をお寄せください!>



1.そう思う
安いものを求める消費者、会社の利益を最優先する経営者。
卵と鶏と同じですが、どちらが先なのか?
結局は日本中に余裕や遊びが無くなって結果だけが求められる様に
なってしまっているのではないでしょうか?
政治家や役所の無駄遣いがクローズ・アップされる様になってから
特に顕著になっているように感じるのは、私だけでしょうか。

47才 男

2009/11/11 09:15

ODAの仕事でタイの北部に行きました。仕事の内容は農村開発計画を策定すること。日本人調査団が出した結論はダムを作って農業収益を高めるという計画でした。地元の方々を対象にした説明会で、中年男性の農民が手を上げて、私はこの計画に反対ですと静かに発言されました。以下が反対の理由です。


1.私たちは雨季の水だけで不自由なく農業をやってきた。ダムができたら一年中農業をしなくてはいけなくなる。忙しくなるのはいやだ。


2.この地域の食料は今のやり方で賄えている。地域外に農産物を売らないと、2倍の農産物ができたら単価は半分になる。収入は同じで忙しさは2倍だ。


3.仮に収入が増えたとしても、買うものは日本製のテレビやバイクだ。俺はどちらも欲しくない。


日本人調査団はグーの音も出ず、計画は実質上お蔵入りとなりました。今の日本人の中に、豊かになるとか、効率的になるとか、新しくなるとかいう計画に正面から反対できる人・組織はどれだけいるのでしょうか。古いもの、非効率なものが全て良いと言う訳ではありませんが、頭でっかちではない自らの幸せ感(価値観)を正直に発言できるような人間になりたいなと思います。

2009/11/05 20:33

農村に残る文化や人と人とのつながりを大事にする活動を行うようにしています。

2009/11/05 11:07

40年ぐらい前の栄の住吉通り(今の郵便局近く)にあった父の勤め先に
よく連れて行かされたのですが、建物横にたばこ屋さんがあって、
ハイカラなお姉さん(いやおばさん?)がやっていたことを
今でも記憶に残っております。狭い造りのたばこ屋さんでした。
その時代ですから、まわりに高層ビルの記憶はないです。
2,3階の建物ぐらい・・(笑)
名古屋祭りの時は、お店から椅子を借りて見物したような記憶も・・・
よき時代でした。

2009/11/05 11:05

田舎の小売店は消え、公衆電話も無くなり、最近は郵便ポストが少なくなった感あります。携帯の通じない田舎から何故公衆電話が消えたのでしょうか、田舎を人生の楽園と言うテレビ番組が有りますが高齢者の田舎暮らしは壮絶なものがあります、利益優先の世の中から、無駄と遠回りの世の中が欲しい年になりました。

2009/11/05 10:26

昔、近所に「たばこや」という駄菓子も売っている店があって、
毎週その店で、週刊の少年マンガ雑誌を買っていました。
発売日に遅れると売り切れになってしまうのですが、
毎週買っている僕を店のおばあさんが憶えてくれていて、
何も言わないのに、僕の分を取りおきしてくれていたことを思い出しました。

2009/11/05 10:08

企業や店舗の自動化や省人化はあくまでも単純作業の機械化による労務費の削減が主な目的です。
そしてその作業をされていた方は人間的で創造的な分野で活躍をすることが期待されることが本来の主旨でした。
しかし、その作業の方が何を付加的にしていたか、までは自動化した人は解っていませんでした。
単純な?方はじゃあ、ということでTVカメラを設置したりして自動機のトラブル発見やその他の異常を事後に早期発見しようとします。
設備は機械ですから故障もします。世の中の基準が変化したら設備も入れ替えを余儀なくされます。
だんだん設備投資金額が上がってしまい、何のための省人なのか解らなくなってしまうのです。

こういう流れはどこでもありますが、若い管理職の方が短期に事業効果を上げようとしたときに、起こりがちです。
それまでの経緯やその作業者が何をやっているかを見抜けず10のうち7か8まではカバーできるのですが、残りの取りこぼしが累積したり、突発トラブルに対応できなかったりします。
でも田舎のおばあちゃんも年をとります。
いつまでも店番ができなくなる場合も有りましょう。
それに対する対応は比較的若い??看板娘を随時用意するという小さな世代交代が順調に行われる社会を作る、ということかもしれません。
一概に言えませんがこれも田舎の人口構成比のアンバランスや過激なコスト競争の結果かもしれません。

2009/11/05 09:58

「こばた」のお店はとても癒されます。古き良き時代の面影がお店の方にも出ていて面白いと思います。
自動化は良いこともありますが、雇用よりも人のふれあいが無くなってしまっていると思います。
人と人との会話がなくなってしまっていくと近隣トラブルや大きな犯罪になっているものだと考えます。
以前は近所の方との会話で近隣の情報を吸収したり、地域のいろんなことがわかったりしたと思います。
昔の子供たちは地域の方(たばこやのお婆さん)のような方に見守られながら育っていた
これも古き良き時代になりつつあると思いました。

2009/11/05 09:27

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