【連載コラム】20年後の地域戦略を考える


Vol.2
1リットル200円の水

2009.10.13 金子照美(2030.jp編集室 NPO田園社会プロジェクト理事長)
コメント(6)件

前回の「2台のトラック」の話は、日本中の農村が大手スーパーなど
企業経済のシステムに巻き込まれてしまっていることを示しています。

「そうでなきゃ農村は生きていけないよ」と仰る地元の行政の方々。
・・・うーん、ちょっと待ってください。確かにそうかもしれません。
ではお聞きします。・・・農村が企業経済のシステムに巻き込まれているのか、
それとも農村が企業社会を巻き込んでいるのか?
もっと簡単に言えば、農村はスーパーに農産物を買ってもらってるのか、
それとも、農産物を売るためスーパーを利用しているのか、どちらなのでしょう?
この場合、言うまでもないことですが、巻き込んだ側が有利、
巻き込まれた側が不利であることは明らかですね。

少し話が飛びます。コンビニへ行くと「六甲の水」「南アルプスの水」なんてペットボトルがありますね。
今から25年以上も前、ハウス食品が最初に「水」を商品化したらしいのですが、
現在では、国内外あわせて400種の「水」が売られているそうです。

この値段のつけ方がすごい。
500ccのペットボトルで100円前後ですから、1リットル約200円です。
ガソリンは今リッター125円(うち税金が53.8円)くらいですから、
実にガソリンの倍近い値段をつけているわけです。
日本は水道の水が飲める数少ない国、しかも水質は世界でもトップクラス。
その水道水でジャブジャブと車を洗いながら、ガソリンの倍の価格で水を買っている。
これが我々消費者の姿なのです。

そして、牛乳も水とほぼ同じ価格、1リットル220円前後です。
・・・酪農農家の仕事は大変です。
朝も暗いうちから起き、朝夕2回の搾乳(約6時間かかるらしい)、
エサ作り、給餌、糞尿の処理、牛舎の掃除と一日12時間の重労働、
生き物の世話のため旅行へも行けないと聞きます。
その酪農農家のミルクが、水と同じくらいの値段で売られているのです。

これらの値段をつけているのは企業側です。
複雑高度な機能を持った携帯電話が0円で売られていたりしますね。
スーパーでは1円でも値段を下げる過激な競争を続けています。
かと思えば、女性はブランド物のバッグを何十万円という値段で買います。
高くなければブランド物として価値がない。

要するに、値段をつけているのは生産者ではなくて、企業側です。
買うのは消費者。
消費経済というのは、乱暴な言葉で言えば、企業と消費者のだまし合い、
そして企業と企業のつぶし合い、生き残りをかけた熾烈な死闘でもあるのです。

企業経済のシステムに巻き込まれているにせよ、巻き込んでいるにせよ、
農村がこんな恐ろしい経済社会に関わることは決して得策ではないように思えてなりません。
それでなくても農村は、国土や環境の保全、生態系、農村文化や教育といった
途方もなく大切なものと関わっているのですから。



<ご感想をお寄せください!>



以前から感じていたことです。
海外からタンカーで輸入して精製した製品より、水のほうがはるかに高い。
どこかのコマーシャルにもありましたよね。ペットボトルの水を渡されて「俺△△じゃねえし。〇〇kmも走れねえ!」とかいうの。
海外では、水は買って飲むものが一般的ですが、日本では生のまま飲めるきれいな水で大小便を流したり、ちょっと軽視しすぎですよね。
それに、上流の水源地域に居住し畜産を行なったり家庭の雑排水をそのまま川に垂れ流ししたりして、結局下流の農地では泡立ったような汚い水で農業を営む結果になっています。
適切に水を利用・浄化すれば、幼い頃のような清流が蘇えると共に、きれいな水・土・環境から生産された素敵な味の農産物ができると思います。また、終着地である海洋汚染も防止でき、私たちも海水浴等透き通ったきれいな水の中で魚たちと戯れることができます。そんな社会を取り戻すことができればと思います。

2009/10/21 20:36

最近ニュースで、どこかの国で酪農家たちが何万トンもの牛乳をトレーラーに乗って畑にバラまいている光景を見ました。あまりにも牛乳の値段が安いので、企業側に対して抗議しているとのことでした。
確かに、牛乳に関わらず畜産物・農産物すべてに対して、いいように企業側に振り回されている感じがします。
ご飯茶碗一杯のお米を育てるのに、湯船一杯の水が必要とされています。しかし、その150gのお米は約40円位で売られてます。労力とお金をかけて作るものには、それだけの保証が必要だと思います。 
もっと生産者の苦労が報われるような世界になってほしいです。

2009/10/15 17:19

ウーさま通信1.2と読ませていただき、フードマイレージには本当に考えさせられます。
北海道は食料自給率約200%で全国の約40%の5倍で十分ですが、東京の首都圏や関西等都市部ではほとんど一桁と思います。おっしゃる通り地産地消で地域の人が地域の食物を食べれるような環境になるとよいのですが、大都会では農地がありませんものね。昔は水と空気はただと言っていたのですが、今は水も買って飲む時代になってきていますよね。
色々と考えさせられます。

2009/10/15 09:45

言われるまで気づきませんでしたが、そう言われてみればそうですね。
ミネラルウォーター等が地下水からくみ上げられたものか、製造されたものかもよくわからないですし。
と、疑問に思って色々ホームページで調べてたら、「フードマイレージ」なるものがあるんですね。
1回目のコラムとリンクする内容で、またまたなるほどと思ってしまいました。
ご存じとは思いますが、参考までにリンクをはりつけておきます。
3回目のコラム、楽しみに待ってます!


「市民科学」第23号 「ウォーターマイレージからみた ミネラルウォーター 」
http://www.csij.org/01/shiminkagaku/23/csij-journal-023-whole.pdf

2009/10/14 13:32

コラムに書かれていたように日本の牛乳は不当に安く、本来の牛乳とはかけ離れた製品が消費者に届けられています。私たちは、その辺の事情を書いた中洞正著『黒い牛乳』(幻冬舎)の出版支援し、自らも「山地酪農」を実践し本来の牛乳や乳製品を消費者に届ける事業を展開する予定です。「山地酪農」を一言で言えば、365日通年放牧を行い、穀物等の濃厚飼料は基本的に給餌せず牧草(野芝)だけで飼育する酪農方法です。これによって搾乳量は従来の半分(3~4000㍑/年)、乳脂肪分も3.5%を上回ることはありませんが、牛が幸せであること、ストレスが無く健康な牛が安全で、旨くてさっぱりした牛乳を生産してくること、畜舎飼いと違って酪農家が糞出し等の重労働から開放され人件費が安くなること、初期投資が少なくて済むこと等の利点があります。ただ、独自の販路を持たないと他の牛乳と一緒に集荷されて生産者の思いが消費者に伝わらず、農協が決めた生乳の最低乳脂肪分3.5%をクリアーできないため、不当に安い価格で引き取られてしまうこと等の問題点があり、酪農の生産・流通・消費といった一貫した流れの中で事業を展開していこうと思っています。詳しくは『黒い牛乳』をお読みください。


『黒い牛乳』
http://www.amazon.co.jp/黒い牛乳-経営者新書-中洞-正/dp/4344996879

2009/10/14 12:03

前回のコラムに続いて視点が面白いですね。
いろいろなものを並べて、単に価格だけを比べてみると、
まだまだナゾなことは多々ありそうです。
次回も楽しみにしてます!

2009/10/14 11:57

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