BIOSPHERE 20年後を目指した地域戦略を考える
竹下 : ・・・そうなんですね。まず、実際に何が起こっているかを知るってことが大事だと思うんです。今年のお正月に、家族で新潟県の十日町市松代町へ行ってきました。そこで、国際的な現代アート展「大地の芸術祭」)を開いていらっしゃる北川フラムさん(アーティスト兼プロデューサー)に御案内いただいたんですが、松代でいろんなことを知りました。そのあたり一帯は米どころで、信濃川流域の河岸段丘が美しい棚田になっています。雪がたくさん降るのに川がやせていたんですね。何故かと訊いたら、上流にダムがあって、その電力で山手線が動いているって。・・・驚きました。ああ、私たち都会の暮らしはこういう地方の山や川に支えられて成り立っているんだって。お米だって、東京の人間が魚沼産コシヒカリをいちばん食べているんです。その一方で、松代に住んでいらっしゃる人たちは「ここの絶滅危惧種は人間です」って(笑)。
佐藤 : ほんとに笑い事じゃありませんね。農村から人間が消えてしまったら、そのしっぺ返しは都会にやってきますから。
竹下 :ええ、だから私も松代の「棚田バンク」に一口参加しました。その地域は休耕田が多くて、棚田を維持するために里親を募集してやっている制度なんですが、田植えや草刈りに参加してもいいし、収穫したお米は配当されるシステムです。できるだけ機会をつくって農作業にも参加したいなぁと思っています。
佐藤 : それは素晴らしい。


竹下 : 私たちが豊かな生活、幸せを楽しんでいるうちに、森や農村や地球ではたいへんな状況になっている。そのことをまず知らないと。私も松代に行って現実を知りました。だから、もっと知る機会が欲しい。棚田バンクやアート展のように、都会の人がもっと農村へ足を運べるようなプレゼンテーションが欲しいと思います。
佐藤 : 私も2年前から「中山間地域フォーラム」という組織を立ち上げています。これは消滅してゆく集落をどう守るかというテーマで、全国の学者や産業界の有識者などが知恵を絞って支援してゆくという組織です。現在370名程度の会員がいますが、支援のモデル集落を決めて皆さん手弁当で活動してもらっています。
竹下 : 素敵ですね。自分なりの方法でやれればいいですね。とにかく、まず見て知って、自分が何から始めたらいいかを考える。家族でできればもっといいですね。私がやらせていただいている「3世代ファミリーキャンプ」のように、親から子、子から孫へと世代を超えて続けていくってことですね。子供たちにはいろんな体験を残してやりたいと思います。
佐藤 : おっしゃるとおりですね。
竹下 : ドラマ「北の国から」は、大自然の中での家族愛がテーマでした。と同時に、大量生産、大量消費が豊かで幸福な生活だと信じていた私たちが見失っているものは、という問いかけがありました。ドラマを通じてたくさんのことを学びましたね。
佐藤:最初にご出演されたのは?
竹下:もう、25年前になりますね。
佐藤:北海道も変わりましたか?
竹下:そうですねえ。・・・最初の撮影の頃は、雪かきをしないと撮影できなかったのが、最終回のロケでは雪が足りなくて他所から運んできたりして(笑)・・・。ダイヤモンドダストを見る機会も減りましたねぇ。あと、もともとはいなかったゴキブリが出るようになったという話も聞きました。
佐藤:進んでいるんですね、温暖化が・・・。米の生産量は日本一になるでしょうけど。
竹下:ええ、・・・でも、森は・・・。

佐藤:一生懸命やりましょう!・・・次世代のためにも。
竹下:はい!・・・悔いの残らない2030年を迎えたいですね。先生、今日はとっても勉強になりました。ありがとうございます。
佐藤:いいえ、こちらこそ。素敵なお話を聞かせていただきました。
対談年月:2008年7月